この記事の結論
- 図案のアイデアは、季節の行事・身の回りのモチーフ・シンプルな図形の組み合わせという3つの方向から探すと見つけやすい
- 彫りやすい図案にするコツは、線を太めに描くことと、塗りつぶす面(陽刻)と彫る面(陰刻)を先に決めておくこと
- 手描き図案とパソコン・アプリで作る図案には、それぞれ向き不向きがある
- 他人の図案やキャラクターをそのまま彫って販売・配布することは避けるべきで、オリジナル図案を作る習慣が後々のトラブル回避につながる
彫刻刀の持ち方や基本の彫り方に慣れてくると、多くの愛好者が次にぶつかるのが「図案をどう作ればいいのか分からない」という壁です。
ハンドメイド作家のブログやSNS投稿を見比べていると、「本を見ながら彫るのは楽しいけれど、自分だけの図案を作れるようになりたい」という声がよく見られます。
既存の図案集は最初の練習には最適ですが、年賀状や名刺、プレゼントのラッピングに使うとなると、やはり自分らしいオリジナルの一本を彫ってみたくなるものです。
この記事では、図案のアイデアの見つけ方から、彫りやすい形への整え方、そしてオリジナル図案を作るうえで知っておきたい著作権の考え方まで、順を追って整理していきます。
1. 図案のアイデアはどこから探すか
「オリジナル図案」と聞くと、何もないところから絵を生み出すようなイメージを持つ人が多いのですが、実際にハンドメイド作家の作品を調べてみると、アイデアの出どころは大きく3つのパターンに分かれています。
季節の行事・年中行事から探す
年賀状シーズンなら干支の動物、クリスマスならもみの木やソックス、お誕生日ならケーキやプレゼントの箱といったように、季節や行事に結びついたモチーフは使い道が明確で、贈る相手にも意図が伝わりやすいという特徴があります。
初めてオリジナル図案に挑戦するなら、直近のイベントから逆算してモチーフを決める方法が取り組みやすい方法です。
身の回りのモチーフ・持ち物から探す
飼っているペットのシルエット、好きな植物の葉の形、よく使う文房具のアイコンなど、身の回りにあるものを単純化して図案にする方法も定番です。
写真をそのまま真似るのではなく、輪郭だけを取り出して単純な線で表現し直すのがポイントで、複雑な柄物より、影絵のようなシルエットの方が彫刻刀で再現しやすくなります。
図形の組み合わせから始める
「何を描けばいいか思い浮かばない」という段階では、丸・三角・四角といった基本図形の組み合わせから始めるのも一つの方法です。
円を重ねて花にしたり、三角を並べて木にしたりと、幾何学的な図案はデザインの自由度が高いうえ、彫る線がシンプルなぶん、失敗しにくいというメリットもあります。

いきなり清書を目指さず、こうしたラフスケッチを何個も並べて描いてみて、その中から彫りやすそうな1つを選ぶという進め方をしている愛好者も少なくありません。
2. 図案を彫りやすい形に整えるコツ
アイデアが決まっても、そのまま彫刻刀を入れられるとは限りません。
絵として綺麗でも、彫刻には不向きな図案というものが存在するためです。
線の太さと余白の取り方
細すぎる線は、彫っている途中で欠けたり折れたりする最大の原因になります。
初心者のうちは、線と線の間隔を2ミリ以上あけることを目安にすると、彫刻刀の刃が隣の線を巻き込みにくくなります。
線を太めに描き直してから彫り始めるのが基本で、文房具メーカーの製品ガイドや彫刻刀メーカーの解説動画でも繰り返し紹介されているポイントです。
塗りつぶす面と彫る面を先に決める(陽刻・陰刻)
消しゴムはんこには、図案の部分を残して周りを彫る「陽刻」と、逆に図案の輪郭線だけを彫り残す「陰刻」の2種類の考え方があります。
図案を描く段階で、どちらの仕上がりにしたいかを決めておくと、彫るときに迷いが減ります。
鉛筆で下描きをするときに、残す部分を斜線で塗りつぶしておく、あるいは彫る部分に×印をつけておくといった目印をつけておくのがおすすめです。

図案が固まったら、トレーシングペーパーに鉛筆で描き写し、それをイレイサーの表面にこすりつけて転写するのが一般的な手順です。
転写のやり方については、図案の写し方・トレース方法を扱った記事で詳しく取り上げています。
3. 手描き図案とパソコン・アプリで作る図案の違い
近年は、イラスト作成アプリやフリー素材サイトを使って図案の下絵を作る愛好者も増えています。
どちらの方法にも一長一短があり、目的に合わせて使い分けるのが現実的です。
手描きのメリットと限界
手描きの図案は、線の強弱や独特の味わいが出やすく、「手作り感」を大事にしたい人には向いています。
一方で、左右対称の図案や細かい模様の繰り返しなど、正確さが求められるデザインは手描きだと難易度が上がります。
画像編集ソフト・フリー素材を使うときの注意
無料のイラスト作成アプリやフリー素材サイトを使えば、線をきれいに整えたり、左右反転で鏡文字を確認したりする作業がぐっと楽になります。
ただし、フリー素材をそのまま印刷して彫るのではなく、「参考にしながら自分なりに描き直す」という一手間を挟むことをすすめる愛好者が多く見られます。
次のセクションで扱う著作権の考え方とも関わる部分なので、素材サイトの利用規約に個人利用・商用利用の範囲がどう書かれているかも、あわせて確認しておくと安心です。
4. オリジナル図案と著作権の考え方
消しゴムはんこ作りを続けていくと、いずれ「好きなキャラクターやイラストを彫ってみたい」という気持ちが出てくるものです。
ここで一度立ち止まって考えておきたいのが、著作権の考え方です。
他人の図案・キャラクターを彫るときに気をつけたいこと
漫画やアニメのキャラクター、他の作家がデザインしたイラストなどには、原則として著作権が存在します。
個人で楽しむために自宅で彫って使う分にはあまり問題になりにくいものの、SNSに図案そのものを載せて公開したり、彫った消しゴムはんこを販売・配布したりする行為は、著作権者の権利を侵害する可能性があると考えておいた方が安全です。
販売や配布を考えているなら特に慎重に
将来的にminneやBASEといったハンドメイドサイトでの販売を考えているなら、なおさらオリジナル図案にこだわる必要があります。
この点は、ハンドメイド販売の注意点を扱う記事でも改めて詳しく取り上げます。
迷ったときの基本方針としては、「他人が作ったものをそのまま使わない」「参考にする場合は自分なりにアレンジを加える」という2点を意識しておくと、トラブルを避けやすくなります。
今日のアクション
- 季節の行事・身の回りのモチーフ・図形の組み合わせの3方向から、次に彫りたい図案を1つ決めてみる
- 下描きの段階で、線と線の間隔を2ミリ以上あけて描き直してみる
- フリー素材やキャラクターを参考にする場合は、そのまま使わず自分なりにアレンジを加える


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