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多色刷り・グラデーションの技法とコツ

多色刷り・グラデーションの技法とコツ

この記事の結論

  • 多色刷りは、図案を色ごとに分けて彫る「版分け」と、位置を合わせる「見当」の2つが基本になる
  • グラデーションは、複数色が並んだインクパッドを使う方法と、1つのインクパッドの中で色をぼかす方法の2通りがある
  • 多色刷りの失敗の大半は「ズレ」と「色移り」で、どちらも事前の準備で防ぎやすい
  • 最初は2色までの図案から始めると、位置合わせの感覚をつかみやすい

単色の消しゴムはんこに慣れてくると、次に気になってくるのが多色刷りです。

ハンドメイド作家の作品ギャラリーを見比べていると、「1色で彫っているうちは地味に見えていた図案が、色を分けた途端に一気に華やかになった」という感想をよく見かけます。

インクの選び方やスタンプ台との相性についてはインクの選び方と使い方を扱った記事でも触れていますが、この記事では、色を複数使う応用的な技法にしぼって整理していきます。

版分けの考え方から、グラデーションの付け方、よくある失敗の対処法まで、順番に見ていきましょう。

目次

1. 多色刷りとは何か、なぜ挑戦する価値があるか

多色刷りとは、1つの図案を複数の消しゴムはんこ(またはひとつのはんこの部分ごと)に分けて彫り、それぞれ違う色のインクで重ねて捺す技法です。

花びらと葉っぱを別の色にしたり、文字とイラストで色を変えたりするだけでも、作品の印象は大きく変わります。

多色刷りで仕上げた花柄やリボン柄の消しゴムはんこの年賀状・グリーティングカードが、木製のテーブルの上に数枚並べられている様子

年賀状や名刺、ラッピングタグなど、贈る相手の目に触れる機会が多いアイテムほど、多色刷りの効果が分かりやすく出ます。

単色で満足せず一歩先に進みたいと感じたタイミングが、多色刷りを始めるちょうどいい時期だといえます。

2. 版分け(色ごとにはんこを分ける)の基本

多色刷りの土台になるのが「版分け」という考え方です。

1つの図案を、色を変えたい部分ごとに分解し、それぞれを別の消しゴムはんことして彫り分けるのが基本です。

版を分けるときの位置合わせ(見当)

版を分けたあと最大の課題になるのが、それぞれの版を捺すときの位置合わせで、これは「見当」と呼ばれています。

下描きの段階で、図案の外側に十字の目印を薄く描いておき、その目印を紙側にも薄く写しておくと、2版目・3版目を重ねるときにズレにくくなります

マスキングテープで紙とはんこの角を軽く固定してから捺す方法も、多くの愛好者が実践しているやり方です。

彫る順番のコツ

版分けをするときは、面積の大きい色から先に彫り、細かい模様は最後に彫るという順番にすると、彫刻中に図案の全体像を見失いにくくなります。

先に彫った版を試し捺ししてから次の版の位置を微調整するという進め方をすると、仕上がりの精度が上がりやすくなります。

3. グラデーションの付け方

版を分けずに、1つのはんこだけでグラデーションを表現する方法もあります。

こちらは道具の使い方に少しコツが必要ですが、覚えておくと表現の幅がぐっと広がります。

スタンプ台のぼかし技法

複数色が並んで配置された、いわゆるグラデーション用のインクパッドを使うと、境目の色が自然に混ざり合ったような発色になります。

スタンプ台メーカーの製品情報を見比べると、こうしたグラデーション用パッドは色の並びを自分で並べ替えられるタイプも多く、季節や用途に合わせて色の組み合わせを変えられるのが魅力です。

複数の色が並んだグラデーション用インクパッドに、彫刻された花模様の消しゴムはんこをそっと押し当ててインクを付けている手元の様子

インクを付けるときは、はんこを1点にとどめず、パッドの上をすべらせるように軽く転がすのがコツです。

力を入れすぎると色の境目がはっきり出てしまうため、ふわっと触れる程度の力加減を意識すると、境目がなじみやすくなります。

1つのはんこで色を変える「グラデーションスタンプ」のやり方

単色のインクパッドを複数用意して、はんこの面の一部ずつに違う色を筆やスポンジで乗せていく方法もあります。

こちらは手間がかかる分、パッドの組み合わせに縛られず自由な色合いを作れるのが利点で、花びらの根元から先端にかけて色を変えたいときなどに向いています。

4. 多色刷りでよくある失敗と対策

多色刷りに挑戦した愛好者の失敗談を調べていくと、つまずくポイントは「位置のズレ」と「色の混ざり」の2つにほぼ集約されることが分かります。

位置がズレる

版分けの失敗でもっとも多いのが位置ズレです。

紙を手で持ったまま捺すと微妙に動いてしまうため、下に硬い台を敷き、紙を軽く固定した状態で作業すると安定します。

白い紙に薄い鉛筆の位置合わせの印が付けられ、2色目の消しゴムはんこを慎重に重ねて捺そうとしている手元の様子

それでもズレてしまった場合は、無理に修正せず「味」として受け入れる、あるいは練習用の1枚と割り切って次に生かす方が、気持ちよく続けられます。

色が混ざる

版を切り替えるとき、前の版のインクが乾ききらないうちに次の版を重ねると、色が混ざって濁って見えることがあります。
1版ごとに数十秒〜1分ほど乾かす時間を置くだけで、色の濁りはかなり防げます
急いで仕上げようとするほど失敗しやすくなる工程なので、時間に余裕を持って取り組むことをおすすめします。

今日のアクション

  1. まずは2色までの簡単な図案を選び、版分けの位置合わせを練習してみる
  2. 下描きの外側に十字の目印を付けてから、紙側にも薄く写しておく
  3. 1版ごとに数十秒乾かしてから次の色を重ねる習慣をつける

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この記事を書いた人

文具・工作用品を横断的にリサーチする担当。消しゴムはんこそのものの創作歴を語る立場ではなく、彫刻刀やデザインナイフの実演動画、メーカーの製品情報、愛好者のレビューなどを比較・整理しながら、これから消しゴムはんこを始める方が迷わず最初の1本を彫り上げられるように情報をまとめています。未購入・未検証の商品については、その旨を明記するようにしています。

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